2018年2月9日号 Vol.319

中世西ヨーロッパの
聖杯伝説が下敷き
「パルジファル」


A scene from Wagner's "Parsifal." All Photos: Ken Howard/Metropolitan Opera


A scene from Verdi's Il Trovatore


Peter Mattei as Amfortas and René Pape as Gurnemanz in Wagner's "Parsifal."


R・ワーグナー(1813~83)の3幕の楽劇。「舞台神聖祝祭劇」と銘打たれ、上演時間約4時間(METでは、休憩を入れて約5時間半)、彼の最後の作品となった。
ドイツのバイロイトにある全館木造のオペラハウス、バイロイト祝祭歌劇場で1882年に初演された。この劇場はワーグナーが自身の作品の上演を目的として計画、設計し、ワーグナーを崇拝していた若いバイエルン王ルートヴィヒ2世の後援を得て1872年に着工、1876年に完成、最初に上演された作品は「ニーベルングの指環」である。「パルジファル」は、その後1913年までバイロイト祝祭歌劇場以外での上演が禁止された。
ストーリーは中世の聖杯伝説に基づき構想され、音楽は厳粛で神秘的な響きで満ち溢れている。
今シーズンのタイトルロールは、2006年に同じくワーグナー作曲の「ローエングリン」でMETデビューを果たし、ハンサムな容姿が舞台映えする人気のドイツ出身のテノール歌手クラウス・フロリアン・フォークト。
美女クンドリに、現代最高のワーグナー・ソプラノという評判のエヴェリン・ヘルリツィウスが待望のMETデビューを飾る。
その他、ルネ・パぺ、ペーター・マッテイなど熟練の歌手が脇を固め、METの音楽監督ヤニック・ネゼ=セガンがタクトを握る。

▼あらすじ

中世(10世紀ごろ)スペインのモンサールヴァート城が舞台。騎士の長老グルネマンツにより聖杯守護の王アムフォルタスの事が語られる。
王はかつて「恐ろしいほど美しい女」クンドリへの愛欲に迷い、魔法使いクリングゾルに聖槍を奪われ、今は深い傷を負って苦しんでいる。その傷を治すことができるのは、預言者の言う清き若者だけだ。
そこに突然、矢に射抜かれた白鳥が落ちてくる。犯人は、汚れを知らない「清き愚か者」パルジファルだった。やがてアムフォルタスへの同情に目覚めて知性を得たパルジファルは、放浪の末にモンサルヴァートに戻ることがかない、そこの聖堂で父王ティトゥレルの遺骸を前に現れる。彼が聖槍でアムフォルタスの脇腹に触れると、たちまち傷が癒える。
パルジファルは、聖杯の覆いを取り、救世主として、また王として、騎士たちから忠誠の誓いを受けると彼らを祝福する。聖杯と聖槍が再び揃い、聖地に平和が戻る。(針ケ谷郁)

PARSIFAL
■2月5日/10日/13日/17日(M)/20日/23日/27日
■リヒャルト・ワーグナー作曲、ドイツ語上演
■原作:中世の叙事詩に基づき、R.ワーグナー自身が台本を制作
■初演:1882年7月26日バイロイト祝祭劇場
■演出:フランシャス・ギラール
■指揮:ヤニック・ネゼ=セガン/ジョン・キーナン
■配役:パルジファル:クラウス・フロリアン・フォークト
    クンドリ:エヴェリン・ヘルリツィウス
    アムフォルタス:ペーター・マッテイ
    クリングゾル:エフゲニー・二キーティン
    グルネマンツ:ルネ・パぺ
■チケット:212-362-6000
www.metoperafamily.org


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